イギリス英語といっても、社会階級や教育レベル、地域によって発音はさまざまです。
ここでは、「標準イギリス英語」と「標準アメリカ英語」をもとに、比較していきます。
日本でいうところのNHKにあたる、イギリスのBBC(英国放送協会)のアナウンサーが話す英語です。
「標準イギリス英語(RP、容認英語)」や「BBC English」などと呼ばれています。
この標準イギリス英語は、Received Pronunciation(RP)と呼ばれている発音で、上流階級の人たちや南イングランドの一部の人たちしか使っていません。この発音を使っている人は、人口の5%に満たないと言われています。
話す英語によって社会階級や教育レベルを判断する人が多いので、就職のためにこの標準イギリス英語に発音矯正する人もいます。
有名なイギリス人俳優のヒュー・グラントさんは、この標準イギリス英語を話します。
イギリス英語教材の音声の多くは、標準イギリス英語を使用しています。
アメリカ英語は、地域による発音の差は少ないです。
アメリカ英語は、中西部、南部、東部の3種類に大きく分けられます。
私たちが一般的に「アメリカ英語」と呼んでいるのは、アメリカ全土の75パーセントを占める中西部の発音です。これを「標準アメリカ英語」としています。
標準アメリカ英語は、General American(GAやGAP)と呼ばれています。
では、イギリス英語とアメリカ英語の発音の違いを比べてみましょう。
「a」や「au」の発音が違う
アメリカ英語で「ア」と「エ」を一緒に発音する「æ」(短い「ア」)を、イギリス英語では「ɑː」(長い「アー」)と発音するものがあります。
有名なものでは「can」で、アメリカでは「キャン」「キャーン」と発音しますが、イギリスでは「カン」と発音します。ただ、イギリスでも「can」に強い意味を込めて発音するときは、アメリカと同じ「キャン」になります。
比較表(分かりやすいように、発音はカタカナにしました)
※カタカナは、あくまでも参考です
単語 | イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
can | カン | キャン | できる |
after | アーフタ | アフタァ | ~のあと |
ask | アースク | アスク | 頼む |
aunt | アーント | アント | おば |
bath | バース | バス | お風呂 |
castle | カースル | キャッスル | お城 |
class | クラース | クラス | クラス |
dance | ダーンス | ダンス | ダンスする |
example | イグザァームプル | イグザァンプル | 例 |
fast | ファースト | ファスト | 速い |
forecast | フォーカースト | フォーキャスト | 予想 |
France | フラーンス | フランス | フランス |
grass | グラース | グラス | 草 |
laugh | ラーフ | ラフ | 笑う |
plant | プラーント | プラント | 植物 |
rather | ラーザァ | ラザァ | かなり |
「r」の発音が違う
アメリカ英語では、単語の終わりの「r」の音を、舌を押し上げるような感じ(巻き舌)で強く発音します。少しこもった音になります。
イギリス英語では、単語の頭文字以外の「r」(子音の前にある「r」や単語の最後の「r」)は、ほとんど発音しないです。
比較表(分かりやすいように、発音は発音記号とカタカナにしました)
※カタカナは、あくまでも参考です
単語 | イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
bitter | bítə ビタ | bítər ビタァ 舌を巻く | 苦い |
car | kɑ́ː カー | kɑ́r カー 舌を巻く | 車 |
park | pɑ́ːk パーク | pɑ́ːrk パーク 舌を巻く | 公園 |
sharp | ʃɑ́ːp シャープ | ʃɑ́rp シャープ 舌を巻く | 鋭い |
water | wɔ́ːtə ウォータ | wɔ́tər ワラー 舌を巻く | 水 |
「t」や「d」の発音が違う
アメリカ英語では、「t」の音は「d」の音に近いです。はっきりと発音されません。
母音の間にくる「t」や「d」は、日本語の「ら」に似た音になります。
ただし、「attack」のように後ろにアクセントがくるときは、「d」や「ら」の音にはならないです。
アメリカ英語の「d」の音は、はじくような音になります。
イギリス英語では、「t」や「d」の音は、かなりはっきりと発音します。
つづり字のとおりに発音します。
比較表(分かりやすいように、発音は発音記号とカタカナにしました)
※カタカナは、あくまでも参考です
単語 | イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
bitter | bítə ビタ 「t」はハッキリと発音 | bítər ビタァ 「t」は弱く発音 | 苦い |
ladder | lǽdə ラダ 「d」はハッキリと発音 | lǽdər ラダァ 「d」は、上歯茎の後ろのあたりを舌先でたたいて、はじくような音にする | はしご |
Peter | píːtə ピーター 「t」はハッキリと発音 | píːtər ピーター 「t」は弱く発音 | ピーター (名前) |
water | wɔ́ːtə ウォータ 「t」はハッキリと発音 | wɔ́tər ワラー 「t」は「ラ」に近い流したような音 | 水 |
リンキング(リエゾン)の違い
「リンキング」や「リエゾン」って、聞いたことがありますか?
「1つ目の単語の最後の音」と「2つ目の単語の最初の音」がつながって、1つの音になる音声変化のことを言います。
「Nice to meet you」の「ミート ユー」の部分が「ミーチュー」になる、音の変化のことです。
このリンキング(リエゾン)は、イギリス英語でもアメリカ英語でも起こる変化です。
でも、アメリカ英語の方が、とても起こりやすいです。
なので、「アメリカ英語の方が聞き取りにくい」と感じてしまうことが多いようです。
イギリス英語も、単語の終わりの「r」の後ろに、母音で始まる単語が続く場合は、リンキング(リエゾン)が起こります。
例えば、「brother and sister」は、「ブラザ ラン シスター」のようになります。
このようにイギリス英語でもリンキング(リエゾン)が起こりますが、どちらかというと、一つひとつの音をはっきりと発音する傾向が強いです。
まとめ
以上が、イギリス英語とアメリカ英語の発音の大きな違いです。
本格的にイギリス英語の発音を勉強したいのであれば、こちらの本を参考にしてみてください。
イギリス英語でしゃべりたい! UK発音パーフェクトガイド
①それぞれの発音の口の開き方が、イラスト付きで説明されています。
②イギリス英語とアメリカ英語の発音の比較が詳しくされています。
③音声がダウンロードできます。
④イギリス英語とアメリカ英語を比較した音声、イギリス英語のみの音声があります。
⑤発音の練習用の単語集、例文集、長文があります。
こちらの本は、イントネーション版もあります。
もっとイギリス英語でしゃべりたい! UKイントネーション・パーフェクトガイド
①イギリス英語が早く聞こえる理由について、詳しく説明されています。
②イギリス人みたいにカッコよく話すコツを教えてくれます。
③イントネーションの上がり下がりは、矢印を使って丁寧に説明されています。
何冊かイギリス英語の発音について書かれたテキストを読みましたが、こちらの2冊が、とても分かりやすく、詳しく書かれていました。
特にアメリカ英語との比較が、ほかのテキストに比べて、多く説明されています。
同じ先生が書いている以下2冊の本
・イギリス英語で音読したい! UK音読パーフェクトガイド
・2週間で攻略! イギリス英語の音読ゼミ
こちらは、実際に口を動かして練習するための例文が、たくさん載っています。
発音の勉強をしたあとに、映画でイギリス英語とアメリカ英語の違いを聞き比べてみると、今まで気が付かなかった差に気付けて、とても面白いですよ!
「コメディ編」、「アクション&サスペンス編」、「SF&ファンタジー&ファミリー編」と、おおまかなジャンルごとに5作品ずつ、おすすめの映画を紹介しています。
ぜひ、こちらも参考にしてみてください。
・イギリス英語とアメリカ英語を比較できる映画 コメディ編
・イギリス英語とアメリカ英語を比較できる映画 アクション&サスペンス編
・イギリス英語とアメリカ英語を比較できる映画 SF&ファンタジー&ファミリー編
では、今回はこのへんで
Seeya!
またね
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